オガミノさんの食卓【第8回】いろは窯のうつわ編

オガミノさんの食卓【第8回】

本格的なインド料理教室として名高い「キッチンスタジオ・ペイズリー」で、
講師として活動されているオガミノさん。
広大なインドの文化と食の多様性、インドの食文化の面白さに惹かれ、
インド料理の道を志されたのだそうです。
そんなオガミノさんは、手仕事フォーラムの活動などを通じて、
日本の手仕事にも深い興味を持ち、いろいろなうつわを
日々の暮らしに採り入れています。
この企画は、オガミノさんの日常の食卓を覗き、そこで使われているうつわ、
そして、オガミノさんが得意とするインド料理を(ちょっとだけ)紹介する企画です。

今回は、「いろは窯のうつわ」編です。

いろは窯は、三重県の多気町で、服部日出夫さんが営む窯です。
服部さんのうつわは、柔らかくて深みのある青色が特徴。
素朴で優しい雰囲気があります。

器には色々な色がありますが、青色はどちらかといえば少数派です。
青色のうつわは食卓でどのように活躍してくれるでしょうか?
オガミノさんにお願いして、いろは窯のうつわを中心に食卓を設えていただきました。

今回のメニューは、
・タンドリーチキン
・オニオンアチャール(玉ねぎの漬物)
・かぼちゃカレー
・カリフラワーのサブジ(オイル蒸し煮)
・じゃがいものクミン炒め
・ほうれん草のサブジ(炒め煮)
・ターメリックライス
です。
今まで連載で取り上げてきたインド料理は、ややマイナーなものが多かったかもしれません。
今回は、北インドの一般家庭でごく日常的に食べられているものを紹介していただきました。
インド料理屋さんでおなじみのメニューだったり、
料理名を聞けばなんとなく想像がつくものもあるのではないかと思います。
レシピも載せていただきましたので、よければ作ってみてください!
では、今回の料理を紹介していただきましょう。
タンドリーチキン、オニオンアチャール
インド料理屋さんでもおなじみのメニュー。
現地仕様で紅く色を付けて焼いてみました。
酸味と辛味の効いた玉ねぎのアチャール(お漬物)を添えるのが定番です。
カリフラワーのサブジ(オイル蒸し煮)
.
北インドの定番中の定番のおかず。
カリフラワーをじっくりと時間をかけて無水で蒸し煮にしていきます。
見た目は地味ですが、旬の味の乗った瑞々しいカリフラワーで作ると、スパイスが中まで染み込んだ美味しいジュースが口の中に溢れ、思わず笑みがこぼれてしまう一品。
ほうれん草のサブジ(炒め煮)
うつわ:やちむん
.
ほうれん草と少しのトマトをニンニクたっぷりのオイルでくたくたになるまで炒め煮にした素朴なおかず。
このサブジも旬のほうれん草で作るとシンプルながらとても美味しく、1束があっという間になくなる冬の定番メニューです。
かぼちゃカレー
.
材料はかぼちゃとトマトのみのシンプルなカレー。
スパイスの染み込んだかぼちゃがしみじみ美味しいです。
じゃがいものクミン炒め
.
クミンシードの香りをうつしたオイルでじゃがいもを炒めた簡単おかず。
ホクホクのじゃがいもに、炒めたクミンの香ばしさが美味しい一品です。
インド料理以外でもお肉料理等の付け合わせに、ビールのお供に、また冷めても美味しいのでお弁当にも重宝します。
ターメリックライス
.
ターメリックを入れて炊いたご飯。
研いだお米に、2合につきターメリックと塩を小さじ1/4くらい、(今回、目分量で入れたら少し多すぎました…)サラダ油を少々入れ、普通に水加減していつも通り炊くだけ。
ルーのカレーの時にもぜひお試しください。
マイソールパク
.
南インドのカルナータカ州のマイソールの伝統菓子。
砂糖とギー(インドの澄ましバター)とベーサンというひよこ豆の粉を加熱して練って固めたスイーツです。
口の中に入れるとギーの香りが広がり、落雁のようにサラリと溶けていく滑らかなくちどけが特徴、なのですが、目下練習中。
冒頭に述べた通り、いろは窯のうつわは何と言っても青が特徴ですが、
この青色が、今回のような暖色系の料理をとてもよく引き立てているのがわかります。

色調がやや強めの料理も、うつわの青色と見事に調和しているのではないでしょうか。

オガミノさんにうつわを使った感想をいただきました。
いろは窯・灰釉8寸縁折返皿(タンドリーチキン、オニオンアチャール)
ちょっとくすんだ温かみのある乳白色の地に柔らかな色合いの呉須の縁取り。
ビビッドに色づけたチキン、合うかしらと思ったのですが、
すんなりと受け止めてくれました。
少し深さがあるのでワンプレートでカレー皿にしたり、パスタ皿として使ったり、
いろいろな用途に使えると思います。
いろは窯 6寸縁折返皿(カリフラワーのサブジ)
タンドリーチキンのお皿の一回り小さいサイズです。
縁の呉須の色がより鮮やかで、はっきりとした印象です。
黄色く染まったカリフラワーと呉須の明るいブルーのコントラストがきれいな一皿になりました。
今回のようにちょっとしたおかずを盛るほかに、
ケーキ皿として、また銘々の取り皿として使ってもよいと思います。
いろは窯 汁碗(じゃがいものクミン炒め)
ころんとした形がとてもかわいらしく、上下の色調のグラデーションがとてもきれいな呉須の汁碗。
この日はちいさなおかずを盛ってみました。
お碗の内側は白い釉薬がかかっているので、食卓でも明るく映えます。
本来の用途である汁碗としても、
手によくなじむ持ちやすい形で、汁を入れても重すぎることもなく、
また口に当てた時の厚みも自然で、心地よく使うことができます。
いろは窯・スープ碗(ターメリックライス)
鉄唐草が描かれたスープ碗。
のびやかで闊達でありながら品のある絵付けが一目見て気に入りました。
鉄釉の深い緑を帯びたようなダークブラウンの色もとても綺麗です。
浅めで大きさもあるので、スープ碗以外にも、カレーの取り皿としてぴったり。
ちょっとした煮物やおかずを盛るなど、使い勝手がとても良いうつわです。
いろは窯・4寸小皿 内外呉須(マイソールパク)
落ち着いた深みのある呉須で、4寸という小さなサイズでありながら存在感があります。
小菓子をのせたり、お浸しなどの小さなおかずを盛り付けたり。
藍にも近い深い色合いで、食卓にこの一皿があるだけでテーブルが引き締まります。

持ちやすく、骨格のあるしっかりとした形は、熟練の陶工・服部さんならではの仕事です。
こうした形の良さも、使い勝手の良さにつながっているのだと思います。

他にも、いろは窯のうつわで色々と料理を用意してくれました。

8寸縁折返皿に、香菜とアーモンドのパスタ。

同じく8寸縁折返皿に、カマスのアクアパッツァ。

スープ碗に、キャベツとベーコンのスープ。

どれも美味しそうです・・・

冒頭でご紹介したインド料理の暖色系に限らず、どの食材も色鮮やかに引き立てているのがわかります。
ふだんの食卓も、より美味しく彩ってくれそうです。

今回は盛りだくさんの内容になりました。
オガミノさん、今回もご馳走様でした!

今回ご紹介したうつわは、こちらからオンラインショップページをご覧いただけます。
いろは窯のうつわは、ここでご紹介したもの以外も色々ありますので、あわせてご覧ください。

【オガミノさんのレシピ】じゃがいものクミン炒め
<材料>
 じゃがいも・・・2個(300g程度)
 ターメリック(あれば)・・・小さじ1/2
 サラダ油・・・大さじ1
 クミンシード・・・小さじ1
 塩・・・小さじ1/2
 ガラムマサラ(なければブラックペッパー)・・・小さじ1/3
 レッドペッパー(一味唐辛子でも可)・・・ひとつまみ
※塩、ガラムマサラ、レッドペッパーは合わせて混ぜておく
<作り方>
(1)ジャガイモは1.5㎝角に切って、ターメリックを入れた湯で茹でておく。
(2)鍋にサラダ油を温め、クミンシードを2、3粒落としてみて、
シュワシュワ泡だったら残りを入れ、パチパチとはじけて香りが立ち、
茶色く色づいてきたらジャガイモを入れてクミンシードと絡めるようにさっと炒める。
(3)塩、ガラムマサラ、レッドペッパーを振り入れ、ジャガイモにまんべんなくなじませる。
.
※ターメリックでジャガイモを茹でると、きれいな黄色になり、
 またターメリックの防腐殺菌作用により保存性が上がります。
 お弁当に入れる場合などはおすすめです。