今回の「手しごとではじめる暮し」では、三重県・いろは窯の器をご紹介します。
いろは窯は、三重県多気郡で服部日出夫さんが営む個人の窯です。
濱田庄司や河井寛次郎の弟子で、丹波立杭焼の再興などに尽力した奥田康博氏に師事、
20年以上にわたって職人として師を支えた経歴を持つ服部さん。
昨年70歳を迎えられ、熟練のロクロと絵付けの技術で、
日常使いの素朴で温かみのある器作りに益々励んでいらっしゃいます。
今回は、服部さんが得意とする呉須(藍色)を用いたものを中心に
シンプルな器をお願いしました。
<縁付き7寸皿>
今回新たにお願いした、縁がしっかりと取られた平たい形の皿。
灰釉と透明釉の2色です。
灰釉は、縁を呉須で柔らかい藍色に彩られ、中心部はやや黄身がかかった色。
透明釉は独特の柔らかな白色です。
表面には貫入(かんにゅう)とよばれるガラス質の細かいヒビがあり、
奥行きが感じられます。
パスタやカレーなどの洋皿としては勿論、
和食の盛りつけ皿としても使いやすいでしょう。
<飯碗>
適度な軽さで使いやすい飯碗です。
しっかりとした形で、服部さんの熟練のロクロ技術が感じられます。
灰釉の黄味がかった地に、柔らかい藍色を彩りました。
もう一つは、服部さんが得意とする、呉須で描かれた唐草模様を
飴色のラインで挟んでもらいました。
動きを感じさせる絵付けの筆にも、服部さんの技術が表れています。
<湯呑>
やや小ぶりですが、しっかりとした形。
飯碗と同じく灰釉に呉須の組合せで、良い風合いです。
<マグカップ>
たっぷりとした形で持ちやすいマグ。
独特の深い藍色は、呉須釉を何度も繰り返して塗り重ねることによって生まれます。
河井寛次郎から奥田師を通じて引き継がれた、服部さんの得意とする技術です。
<スープ碗>
唐草模様が描かれたスープ碗。
口が広めにとられ、使いやすい形です。
シンプルで飽きが来ない、食卓を静かに彩る器たちです。
どれも手仕事の温もりを感じさせてくれます。
是非ご覧下さい。