10/30からはじまる「倉敷の手仕事展」には、倉敷発祥の「ノッティング」が並びます。
ウールや木綿の椅子敷き「ノッティング」
各地の民藝館で見かけたことはないでしょうか。
松本民芸家具などの椅子の座面の曲線に沿うようになじんでいる姿。
心おどるシンプルで楽しい模様。
これは、倉敷民藝館の初代館長、倉敷の民藝の発展に大きく寄与した外村吉之介(1898-1993)が考案した織物で、
自身が倉敷民藝館付属工藝研究所として創設した「倉敷本染手織研究所」で、今も教えられつくられています。
手しごとでは、研究所で外村先生から指導を受けた 外村ひろさん がつくるノッティングをお取り扱いさせていただいています。
先日工房におじゃまし、つくるところを見せていただきました。
このように専用の織機に経糸の木綿の太い糸が張られています。
ウールの束を経糸に結びつけ、はさみでカットする、のくりかえし。
knot(ノット:結ぶ、結び目)が名前の由来で、
ペルシャ絨毯などの作り方と原理は同じです。
元は、いろんな織物からでる残糸の再利用から考案され、
当時研究所では糸の選別からはじまり、それは大変な手間がかかったそうです。
ひろさんのノッティングは毛足がやや長めで、表情豊かな仕上がりが魅力です。
しっかりとした厚みになって、おしりを優しく受け止めてくれます。
壁には倉敷民藝館付属工藝研究所時代の素晴らしい型染め卒業証書が。
そして、おもしろいものが出てきたのよ、と楽しそうに見せて下さったのは・・
あ〜!この柄はまさに!
ドキドキしてしまいました。
ひろさんは外村先生のご子息とご結婚され、倉敷から離れて暮していましたが、
お宅に訪れたご高齢の先生が残していったメモ書き?のようなものでした。
じっとしていることのない人で、なにかいつも考えたり手を動かしたりしてたわね、と。
ひろさんのお宅にも同じデザインのノッティングがありました。
使われて少しくたっとした風合いが、
古いスペインの椅子、通称ゴッホの椅子とぴったりでとても素敵。
西洋の雰囲気もあるノッティングは、さまざまな文化を吸収した現代の生活にもすんなりなじみます。
あなたのお部屋にもいかがでしょう。