ふと美しさに気付くことがあります。
棚にひとつぽつんと置いてみると存在が際立つようです。
物をちゃんと見るという道の入口にたったばかりの私の目には、写る物が日々変わって行くように思われます。
まだまだわからないことが山ほど、どころかひとつの惑星くらいはゆうにありそうです。
とにかく見てみることからはじめましょう。
蓋はつまみを持たなくても片手ですっぽり収まりのよいふくらみがあります。
胴は腰から口に少しすぼまっていて上品な印象です。
黒い柚肌がなまめかしく、青みがかった白の一筋がすうっと流れていて胸の空く感じがします。
外で見てみます。
くるくるまわしてみます。
この三彩のしゅけは、黄みがかった白の化粧土に、しっかりと色濃く出た青と飴の釉薬が自由奔放にかけめぐっていて、少し角度を変えるともう違う顔を見せてくれます。
焼成時に流れて混ざった部分は、人のあずかり知らない自然現象の一瞬の美しさを形にとどめた跡です。
ふたをとると口は広く、使いやすいかたちです。
漬け物、常備菜、なんでもいれて使い込むと風情に深みを増して行きそうです。
台所や食卓に出したままでも様になりますね。
見れば見るほど味わい深く感じられます。
たくさん物を見ることで、物を見る心を育てて行きたいです。
◇龍門司焼 しゅけ
約10.5cmφ H8.5cm
4,800円(税別)
手しごと 山藤