3/9金から開催している ‘太田潤 手吹き硝子 展’
初日から2日間、潤さんが福岡県よりはるばるお店までやって来てくれ、
2日目だった昨日は、ギャラリートークとしてお話しを聴く会を催しました。
朗らかで気さくな人当たり、
わはは!と豪快に笑い、でもカメラを向けると少しシャイな笑顔。
居合わせたお客さんの赤ちゃんには、優しく目を細め、温かな人柄がにじみ出ます。
・・・
福岡・小石原焼、優れた民藝陶器を継承する太田哲三窯に生まれた潤さん。
長男の圭さんは陶工として、次男の潤さんは、吹きガラス職人として歩んでいます。
(小石原焼の縁有り鉢から着想した’モール小鉢’)
じっとしていられない性分で、ロクロの前に座り続ける仕事は向いていないと感じていたこと、
昔から家にあった小谷真三さんの倉敷ガラスや、イランやメキシコのガラスに改めて目が向き、この道にすすみました。
(’栓付瓶’と’小さい花さし’)
どうやって作るのかを学ぶための沖縄での5年間は、分業制のため、実際にガラスを吹く事はほとんどなく、目で見て学ぶ修行となりました。
再生ガラスしか使っていないのも、沖縄で学んだことからです。
(沖縄の再生ガラスを想起する’モールロックグラス’)
福岡に戻り、憧れの小谷さんの図録の巻末にあったという窯の模式図を見ながら、なんとそれだけで窯を自作し、工房を建て、いよいよガラスを吹きはじめます。
(工房移転後の現在の窯。火があらぬ所から吹き出て、動き出しそうな生命感があります。)
潤さんのガラスは、少々歪んでいたり、傾いていたり。
それを私たちは、愛嬌がある、味がある、と感じたりもしています。
潤さん自身は、
下手ですみません、
せっかちで丁寧にできなくて、
やり直すと却ってまずくなるんで、
めんどくさくて、(おいおい!笑)
なまけものなんで、(おーい!笑)
がははー!と笑いながら話します。
全く自分を飾らない、ありのままな人。
実際はものすごく努力をしてきているはずで、強い信念を秘めている人。
そう感じました。
小谷さんの物を真似して作ってるつもりだけど、全然似ないと笑います。
不揃いな形は、技術が発展途上とも言えるし、
ガラスの溶解が不十分で、気泡がたくさん入ったりもする。
(その自然に入ってしまった泡が、とてもきれいなのですが)
自作の窯のごきげんをうかがいながら、その時できる物を一生懸命作る。
早くたくさん作る。変にいじりすぎない。
小谷さんからきいた「ガラスのなりたい形にしてやる」という言葉が心にあるそうです。
自然に逆らわない。
潤さんのガラスは、潤さんそのものです。
なぜ心惹かれるのか、わかった気がしました。